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副業の開業届|出すべき人の判断基準とメリット

副業の開業届|出すべき人の判断基準とメリット

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フクゼイ編集部

監修副業税金ナビゲーター

副業の税金・確定申告・会計ソフト選びを専門に扱うメディア。国税庁の公式情報をもとに、副業ワーカーが税務で困らないよう正確な情報を発信しています。

副業で事業所得を得ているなら、開業届は出すべきだ。最大のメリットは青色申告65万円控除が使えること。一方で、失業給付の受給資格を失うデメリットがある(雇用保険法上、開業届提出中は「就業中」とみなされる)。この記事では開業届を出すべき人の判断基準と、最適なタイミングを整理する。

開業届とは何か:提出の意味と法的根拠

開業届の提出自体に罰則はないが、青色申告65万円控除の前提条件になる。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、所得税法第229条に基づく。副業の所得が雑所得か事業所得かの判断基準は「副業の雑所得と事業所得の違い」(/column/fukugyou-zasshotoku-jigyoshotoku)で詳しく解説している。特に300万円以下の副業で事業所得を目指す場合は<a href="/column/fukugyou-300man-zasshotoku-jigyoshotoku">副業300万以下は雑所得?事業所得?判定基準</a>で帳簿要件を確認してほしい。

  • 提出先:納税地(原則は住所地)の所轄税務署
  • 提出期限:事業開始日から1か月以内(遅れても受理される)
  • 費用:無料
  • 提出方法:窓口持参・郵送・e-Taxのいずれも可
情報

罰則規定はないため、提出しなくてもペナルティはありません。ただし青色申告の65万円控除を受けるには、開業届の提出が前提条件となります。

開業届を出す3つのメリット

開業届を出すことで受けられる主なメリットは3つある。特に「青色申告65万円控除」は税負担を大きく下げる効果があり、副業収入が一定規模を超えたら検討すべき選択肢だ。

①青色申告65万円控除で税負担を大幅軽減

開業届を提出し、青色申告承認申請書も一緒に出すことで「青色申告特別控除(65万円)」が使える(所得税法第143条)。副業所得から65万円を差し引いて課税計算するため、節税効果が大きい。詳しくは「青色申告と白色申告の違い」(/column/aoiro-shiroiro-chigai)を参照。

ポイント

65万円控除を受けるには、e-Taxでの申告または電子帳簿保存(電磁的記録の保存)が条件です。紙申告の場合は控除額が55万円になります。

②屋号付き口座が開設できる

開業届を提出すると、銀行で「屋号(ビジネス名)+個人名」の口座を開設できる。プライベートの財布と事業のお金を分けることで帳簿管理がしやすくなり、取引先への振込先としての信頼感も上がる。

③小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済は「個人事業主の退職金制度」とも呼ばれる国の制度で、掛金(月1,000〜70,000円)が全額所得控除になる。開業届を提出した個人事業主のみが加入でき、老後の備えと節税を同時に実現できる強力な制度だ。

開業届を出す前に確認すべき3つのリスク

開業届にはメリットだけでなく、生活面や雇用に影響するリスクもある。特に現在会社に勤めている人は、次の3点を必ず確認してから提出しよう。

①失業給付が受けられなくなる可能性

開業届を提出している状態で会社を辞めると、ハローワークから「事業を継続している」とみなされ、雇用保険の失業給付を受け取れない場合がある。会社を辞めた後に失業給付を受ける予定があるなら、受給完了後に開業届を出すほうが安全だ。

②扶養から外れる可能性がある

配偶者の扶養に入っている場合、副業所得が増えると所得要件(年収130万円など)を超えて扶養から外れる可能性がある。開業届の有無に関わらず所得金額が基準を超えれば扶養は外れるが、事業所得として計上した場合の収入基準の計算方法は健康保険組合によって異なるため事前確認が必要だ。

③就業規則の副業禁止に抵触する可能性

会社の就業規則で副業を禁止または届出制にしている場合、開業届の提出が発覚のきっかけになることはほぼないが、確定申告後の住民税通知で発覚する可能性がある。就業規則を確認し、必要に応じて会社への届出・許可取得を先に行うことを検討しよう。

雑所得 vs 事業所得:開業届が必要かどうかの判断フロー

副業収入は「雑所得」か「事業所得」かによって扱いが変わる。2022年10月の国税庁改正通達により、事業所得の判断基準が明確化された。

2022年10月改正: 副業収入が年間300万円以下で帳簿がない場合、原則として雑所得に区分される。
区分雑所得事業所得
開業届不要必要(義務)
青色申告65万控除使えない使える
赤字の損益通算できない(原則)できる
帳簿の保存任意必須(7年)
対象のケース副収入が少額・単発継続的・独立した事業活動
注意

「副業収入が300万円以下なら雑所得」は原則論です。継続的な事業活動の実態があり帳簿を保存している場合は、300万円以下でも事業所得と認められる余地があります。

開業届を出す最適なタイミング

開業届は「事業開始から1か月以内」が原則だが、実際にはいつ出すべきか悩む人も多い。状況別の最適タイミングを整理する。

  • 副業所得が年間20万円を超えそうなとき:確定申告が必要になるタイミングに合わせて提出。青色申告承認申請書も同時に出す
  • 継続的な受注が見込めるとき:クライアントが複数つき、定期的な収入が見込める段階で提出
  • 失業給付受給中・受給予定の人:受給完了後に提出する(受給中の提出は不正受給のリスクあり)
  • 年の途中で開業する場合:その年の確定申告(翌年2〜3月)に青色申告するなら、3月15日までに承認申請書を提出する必要がある

開業届の作成・提出方法(会計ソフトで無料作成)

開業届は会計ソフトで無料作成できる。作成後そのまま帳簿管理に移行できるため効率的だ。会計ソフトの選び方は「会計ソフトの選び方」(/column/kaikei-soft-erabikata)で3社を比較している。

  • やよいの青色申告オンライン:開業届・青色申告承認申請書を無料で作成・印刷できる。e-Taxにも対応
  • マネーフォワード クラウド確定申告:開業届の作成に対応し、提出後の帳簿管理・確定申告まで一貫してサポート
  • 国税庁 確定申告書等作成コーナー:開業届はe-Taxで提出可能。マイナンバーカードまたはICカードリーダーが必要

開業後にやること:開業届提出後の手続きチェックリスト

開業届を出したら終わりではない。青色申告の承認申請や帳簿の整備など、開業後に行うべき手続きを一覧で確認しよう。

  • 青色申告承認申請書を提出する(開業から2か月以内、または3月15日まで)
  • 会計ソフトを導入して帳簿記録を開始する
  • 事業用の銀行口座を開設する(屋号口座推奨)
  • 消費税の確認:開業初年度は原則免税。2年後に課税事業者になる可能性あり
  • インボイス制度:課税事業者への登録が必要か確認する(詳しくは<a href="/column/invoice-fukugyou">インボイス制度と副業の関係</a>を参照)
  • 小規模企業共済の加入を検討する(月1,000円〜)
  • 国民健康保険・国民年金の変更届(会社の保険から外れる場合)

よくある質問

Q. 副業収入が少額でも開業届は必要ですか?

所得税法第229条で、事業所得を得る場合は開業から1か月以内に届け出る義務があります。ただし副業収入が雑所得の範囲であれば義務は生じません。年間所得が20万円未満で雑所得として処理する場合は開業届を出す必要はありません。

Q. 開業届を出すと会社にバレますか?

開業届自体が直接会社に通知されることはありません。ただし、確定申告後に住民税が増加することで会社の経理担当者に気づかれる可能性があります。確定申告書の「住民税」欄で「普通徴収(自分で納付)」を選択することで、副業分の住民税を自分で納付できます。

Q. 開業届を出すと失業給付はもらえなくなりますか?

開業届を提出している状態では、ハローワークは「事業を行っている」とみなし、失業給付の受給資格を失います。会社を辞める予定がある場合は、退職後に失業給付の受給が完了してから開業届を出してください。

Q. 青色申告申請書も同時に提出する必要がありますか?

開業届だけでは青色申告はできません。65万円控除を受けるには「青色申告承認申請書」を開業から2か月以内(または確定申告期限)に税務署へ提出する必要があります。開業届と一緒に提出するのが最も効率的です。

Q. 開業届はどこで・どうやって提出しますか?

納税地(原則は住所地)の所轄税務署に提出します。提出方法は①税務署窓口への持参、②郵送、③e-Taxによるオンライン提出の3種類があります。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やfreee・マネーフォワードなどの会計ソフトでも書類作成が可能です。

Q. 開業届を出さなくても確定申告はできますか?

はい、できます。開業届を出していない場合でも、副業所得を「雑所得」として申告すれば問題ありません。ただし、青色申告の65万円控除は開業届+青色申告承認申請書の提出が前提のため、この控除は使えません。