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副業が禁止される理由と合法的に始める方法

副業が禁止される理由と合法的に始める方法

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フクゼイ編集部

監修副業税金ナビゲーター

副業の税金・確定申告・会計ソフト選びを専門に扱うメディア。国税庁の公式情報をもとに、副業ワーカーが税務で困らないよう正確な情報を発信しています。

「副業は法律で禁止されている」——これは完全な誤解だ。労働基準法に副業を禁止する条文は存在しない。会社が就業規則で副業を制限するのは、本業への支障・情報漏洩・競業避止の3つのリスクを防ぐためだ。この記事では副業禁止の本当の理由と、合法的に副業を始める方法を解説する。

副業禁止の法的根拠:労働基準法には規定がない

労働基準法に「副業禁止」の条文は存在しない。副業を禁止しているのは法律ではなく、各会社の就業規則だ。

日本国憲法第22条は「何人も、職業選択の自由を有する」と定めている。労働基準法にも副業を制限する規定はない。つまり法律上、会社員が本業以外の仕事をすること自体は自由だ。

会社が就業規則で副業を禁止する場合でも、その制限には合理的な理由が必要とされる。厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除した。代わりに「届出により副業・兼業を認める」規定例が示されている。

副業がバレる原因と対策については「副業が会社にバレる理由と対策」(/column/fukugyou-bare-ru)で詳しく解説している。

情報

2018年は「副業元年」と呼ばれる。厚生労働省がモデル就業規則から副業禁止規定を削除し、副業・兼業を原則容認する方向に転換した年だ。

会社が副業を禁止する3つの理由

会社が副業を制限するのは、経営上の3つのリスクを防ぐためだ。逆に言えば、この3つに該当しない副業であれば、会社が制限する合理的な理由は弱くなる。

本業への支障(長時間労働・生産性低下)

最も多い制限理由が本業への支障だ。副業による長時間労働で睡眠不足や体調不良になり、本業のパフォーマンスが低下するリスクがある。労働基準法第38条第1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても通算する」と定めており、副業先の労働時間も通算される。会社には安全配慮義務(労働契約法第5条)があり、社員の過重労働を防ぐ責任がある。

注意

本業と副業の労働時間は通算される(労働基準法第38条第1項)。合計で月80時間超の時間外労働は過労死ラインとされ、会社側のリスクも大きい。

情報漏洩リスク(機密情報・顧客情報)

副業を通じて本業の機密情報や顧客情報が外部に漏洩するリスクがある。特にIT・金融・製造業など、営業秘密や知的財産を扱う業種では深刻な問題になりうる。不正競争防止法第2条第6項は「営業秘密」を定義しており、副業先に営業秘密を持ち出す行為は同法違反に該当する可能性がある。

競業避止義務(同業他社での就業)

同業他社で副業を行うことは、競業避止義務に抵触する可能性がある。競業避止義務は労働契約上の信義則(民法第1条第2項)から導かれるもので、在職中は会社の利益を害する競業行為を行わない義務がある。裁判例でも同業他社での副業は懲戒処分が認められやすい。ただし「同業」の範囲は厳格に解釈され、関連性の薄い業種での副業は制限されにくい。

情報

退職後の競業避止義務は、就業規則や個別合意で定められていない限り原則として発生しない。在職中の義務と退職後の義務は区別して考える必要がある。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の内容

厚生労働省は副業を「原則容認」する立場だ。2018年に策定・2022年に改定されたガイドラインでは、企業に対して副業を認める方向での対応を求めている。

ガイドラインの主要ポイントは以下の通りだ。

  1. 原則容認——労働者が副業・兼業を行うことを、企業は原則として認めるべきとしている
  2. 制限が認められるケース——①本業への支障、②企業秘密の漏洩、③競業行為、④企業の名誉・信用の毀損の4つに限定
  3. 届出制の推奨——副業を全面禁止するのではなく、届出制・許可制で管理する方向性を示している
  4. 労働時間管理——副業先の労働時間は通算管理が必要。ただし「管理モデル」により簡便な管理方法も提示
ポイント

2022年改定では、企業に対して「副業・兼業の可否、条件等を自社のホームページ等で公表すること」が推奨された。求人票で副業可否を明示する企業が増えている背景がここにある。

就業規則の確認方法と副業申請の手順

副業を始める前に、まず自社の就業規則を確認する。就業規則は労働基準法第106条により、社員への周知が義務付けられている。

  1. STEP 1

    就業規則を確認する

    社内イントラ・人事部門・総務部門で入手可能。「服務規律」「副業・兼業」「懲戒」の条項を重点的にチェックする

  2. STEP 2

    副業の可否・条件を確認する

    「全面禁止」「届出制」「許可制」「条件付き許可」のどれに該当するか把握する

  3. STEP 3

    届出・申請が必要な場合、所定の書式で申請する

    副業の内容・時間・頻度を明記し、本業への影響がない旨を説明する

  4. STEP 4

    許可が下りたら副業を開始する

    開業届の提出が必要かどうかは「副業で開業届を出すべき?」(/column/fukugyou-kaigyodoke-dasuka)で判断できる

注意

就業規則が周知されていない場合、その規定は労働者に対して効力を持たないとする裁判例がある(フジ興産事件・最高裁平成15年10月10日判決)。就業規則の周知方法自体にも注意を払うべきだ。

副業禁止の会社でもバレずに副業する方法

就業規則で副業が禁止されている場合でも、法律上は副業を行うこと自体が違法ではない。ただしバレた場合は就業規則違反として懲戒処分のリスクがある。バレるリスクを最小化するには、住民税の普通徴収切り替えが最も重要だ。

副業がバレる最大の原因は住民税の増加だ。確定申告時に住民税を「普通徴収(自分で納付)」に設定することで、副業分の住民税が会社に通知されなくなる。普通徴収の具体的な手続きは「副業の住民税を会社にバレずに自分で払う方法」(/column/fukugyou-juminzei-futsuchousei)で解説している。

バレるタイミングや具体的なリスクパターンの詳細は「副業が会社にバレるタイミングはいつ?」(/column/fukugyou-bare-ru-timing)を参照してほしい。

  • 確定申告で住民税を「普通徴収(自分で納付)」に設定する
  • 副業形態はアルバイト(給与所得)ではなく業務委託(雑所得・事業所得)を選ぶ
  • SNSで副業の収入額・内容・依頼主を公開しない
  • 同僚に副業の事実を口外しない
  • 副業先で社会保険に加入しない範囲で働く

副業OKの企業が増えている背景

副業を認める企業は年々増加している。パーソル総合研究所の調査(2023年)によると、副業を認めている企業の割合は約55%に達した。2018年の約36%から大幅に増加している。

副業を認める企業が増えた理由は主に3つある。

  1. 人材獲得競争——副業OKは求人の差別化要因になる。特にIT・スタートアップ業界では副業禁止が人材流出リスクになっている
  2. 社員のスキルアップ——副業を通じて得た経験・スキル・人脈が本業にも還元される
  3. 厚労省ガイドラインの影響——2018年のモデル就業規則改定と2022年のガイドライン改定により、企業側の意識が変化した
※調査対象は従業員10人以上の企業。業種・規模により差がある。
副業容認企業の割合出典
2018年約36%パーソル総合研究所「副業実態調査」
2021年約50%パーソル総合研究所「副業実態調査」
2023年約55%パーソル総合研究所「副業実態調査」
情報

大企業の事例として、ヤフー・ソフトバンク・サイボウズ・DeNA・メルカリなどが副業を全面解禁している。副業解禁が企業ブランディングの一環になっている。

よくある質問

Q. 就業規則に「副業禁止」と明記されている場合、副業は完全にNGですか?

完全にNGとは限りません。就業規則の副業禁止規定は会社独自のルールであり、法律による禁止ではありません。厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2018年策定・2022年改定)では、労働者が副業を行う自由を原則として認めています。ただし本業への支障・情報漏洩・競業避止に該当する場合は制限が認められるため、就業規則の具体的な条項を確認し、事前に会社へ相談することを推奨します。

Q. 公務員はなぜ副業が厳しく制限されているのですか?

公務員の副業制限には明確な法的根拠があります。国家公務員は国家公務員法第103条(私企業からの隔離)・第104条(他の事業への従事制限)、地方公務員は地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)で原則禁止されています。これは公務の公正性・信用性を維持するための規定です。ただし許可を受ければ不動産賃貸・農業・執筆活動などは認められる場合があります。

Q. 副業を始める前に会社に届け出る必要がありますか?

就業規則に「事前届出制」や「許可制」の規定がある場合は、必ず届け出が必要です。届出なく副業を行うと就業規則違反として懲戒処分の対象になる可能性があります。就業規則に副業に関する記載がない場合でも、トラブル防止のため上司や人事部門に事前相談することを推奨します。厚生労働省のモデル就業規則(2018年改定)では、届出制を前提とした副業容認の規定例が示されています。

Q. 就業規則に副業に関する記載がない場合はどうなりますか?

就業規則に副業に関する記載がない場合、原則として副業は禁止されていないと解釈されます。日本国憲法第22条(職業選択の自由)により、労働者は本業以外の仕事を自由に行う権利を持っています。ただし労働契約上の信義則(民法第1条第2項)により、本業に支障をきたす副業や競業行為は制限される場合があります。記載がない場合でも、事前に会社へ確認しておくことがトラブル防止につながります。

Q. 副業が原因で懲戒処分を受けることはありますか?

はい、就業規則に副業禁止規定がある場合は懲戒処分の対象になる可能性があります。ただし裁判例では「副業の事実だけで懲戒解雇は過重」と判断されるケースが多く、処分が有効になるのは本業への具体的な支障(長時間労働による業務パフォーマンス低下)、機密情報の漏洩、同業他社での競業行為など、会社に実害がある場合に限られます。厚生労働省ガイドラインでも、合理的な理由のない副業制限は認められないとしています。