副業の源泉徴収票が2枚|確定申告の書き方と還付手順
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本業と副業の両方から源泉徴収票が届いたとき、2枚とも確定申告に使います。副業側の給与は「乙欄」で高い税率が適用されているため、確定申告すると還付金が戻ることが多いです。この記事では、2枚ある場合の申告書の書き方、ケース別の対応方法、還付金のシミュレーション、年末調整を2箇所でしてしまった場合の対処法まで解説します。
源泉徴収票が2枚になる仕組みと確定申告が必要な理由
本業と副業の両方から源泉徴収票が届いたとき、2枚とも確定申告に使います。どちらか1枚だけでは正確な税額を計算できません。
給与を2箇所以上から受け取る場合、本業側が「甲欄(こうらん)」、副業側が「乙欄(おつらん)」と呼ばれる異なる税率で源泉徴収されます(所得税法第185条・国税庁No.2520「2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」)。
甲欄は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した会社に適用される税率で、扶養控除や基礎控除を反映した適正な税額が引かれます。一方、乙欄は扶養控除が適用されないため、実態よりも多く税金が引かれています。これが確定申告で還付金が発生しやすい理由です。
副業が給与所得の場合、副業側は原則として年末調整ができません(所得税法第190条)。確定申告をすることで2つの所得を合算し、正確な税額で精算します。副業がある会社員の年末調整と確定申告の違いについては別記事でも詳しく解説しています。
| 区分 | 適用条件 | 税率の特徴 | 年末調整 |
|---|---|---|---|
| 甲欄(本業) | 扶養控除等申告書を提出した会社 | 扶養控除・基礎控除を反映した適正税率 | 可能 |
| 乙欄(副業) | 申告書を提出していない会社(副業先) | 扶養控除なし。実態より高い税率で徴収 | 原則不可 |
源泉徴収票2枚を使った確定申告書の書き方(転記手順)
確定申告書には本業・副業どちらの源泉徴収票も記入します。書面で申告する場合は第二表への記入が先です。
e-Taxで申告する場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で「給与所得の源泉徴収票の入力」画面から2枚分を順番に入力します。スマホでのe-Tax申告の具体的な手順も参考にしてください。
マイナポータル連携を設定している場合、本業の源泉徴収票が自動取り込みされるため、副業分だけ手入力するだけで済みます。
- 【書面申告 Step 1】第二表の「所得の内訳(源泉徴収税額)」欄を開く。支払者ごとに行を分け、本業・副業それぞれの支払金額と源泉徴収税額を記入する
- 【書面申告 Step 2】第二表下部の「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れる(副業を会社にバレたくない場合)
- 【書面申告 Step 3】第一表「給与(ア)」欄に2枚分の支払金額の合計を記入します。源泉徴収税額も2枚分を合算して「源泉徴収税額(48)」欄に記入してください
- 【e-Tax Step 1】国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし「所得・控除等の入力」→「給与所得」を選択する
- 【e-Tax Step 2】1枚目(本業)の内容を入力後、「さらに追加する」ボタンで2枚目(副業)を入力します。2枚目は「年末調整が済んでいない源泉徴収票」として扱います
- 【e-Tax Step 3】入力完了後、システムが自動で合算・控除計算を行い、納税額または還付額を表示する
副業の住民税を会社にバレたくない場合は、第二表の徴収方法で「自分で納付」を必ず選択してください。選択しないと副業分の住民税が本業の給与から天引きされ、会社に通知が届きます。
ケース別:副業の種類によって変わる申告方法
源泉徴収票が2枚以上になるのは「副業も給与所得」の場合(ダブルワーク)です。副業がフリーランス型の場合は、源泉徴収票ではなく支払調書が届くため、申告方法が異なります。
必要書類の詳細は副業確定申告の必要書類一覧で確認してください。
| 副業の種類 | 届く書類 | 申告書への記入場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ダブルワーク(給与) | 源泉徴収票2枚 | 給与所得欄(2枚分合算) | 副業側は乙欄税率。還付が出やすい |
| フリーランス・業務委託(雑所得) | 支払調書(任意)または支払明細 | 雑所得欄(収入−経費) | 支払調書の提出義務はなし。自分で計算 |
| フリーランス(事業所得) | 支払調書(任意) | 事業所得欄 | 青色申告なら65万円控除の可能性あり |
| ダブルワーク+フリーランス混在 | 源泉徴収票+支払調書 | 給与所得欄と雑所得欄の両方 | それぞれ別の欄に記入します。合算しないよう注意してください |
乙欄の過大徴収と還付金のシミュレーション
副業が給与所得(ダブルワーク)の場合、乙欄で多めに源泉徴収されているため、確定申告で還付金が戻るケースが多いです。
令和8年分(2026年)の源泉徴収税額表では、乙欄の税率は扶養控除が考慮されないため実効税率が高くなっています(国税庁:令和8年分源泉徴収税額表)。
下記シミュレーションはあくまで目安です。実際の還付額は控除の種類・金額によって異なります。詳細な計算は会計ソフトを活用してください。
副業の源泉徴収額の正確な確認方法については別記事を参照してください。
| 本業年収 | 副業年収(給与) | 副業の乙欄源泉徴収額(目安) | 確定申告後の還付金(目安) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 50万円 | 約4〜5万円 | 約1〜2万円 |
| 500万円 | 100万円 | 約10〜12万円 | 約2〜4万円 |
| 600万円 | 50万円 | 約4〜5万円 | 約1〜2万円 |
| 700万円 | 100万円 | 約10〜12万円 | 約2〜4万円 |
還付金の正確な計算は会計ソフトが便利です。やよいの青色申告やマネーフォワード クラウド確定申告では、源泉徴収票の数値を入力するだけで自動計算されます。
年末調整を2箇所でしてしまった場合の修正方法
副業先にも「給与所得者の扶養控除等申告書」を誤って提出し、2箇所で年末調整を受けてしまうケースがあります。この場合、扶養控除が二重に適用されているため、本来より税金が少なく引かれている状態です。
ダブルワークの年末調整の正しい書き方で詳しい手順を確認できます。
修正の手順は「修正申告(税額を増やす)」ではなく「確定申告」で正しく申告し直すことです。翌年の確定申告期間(通常2月16日〜3月15日)に2枚の源泉徴収票を使って申告すると、不足分の税額が自動計算されます。
- 2枚の源泉徴収票をどちらも用意する
- 本業側の源泉徴収票:「年末調整済み」として入力する
- 副業側の源泉徴収票:「年末調整済み」として入力する(2箇所での年末調整は無効なため、確定申告で再精算)
- 確定申告書のシステムが合算後の正しい税額を算出し、差額が「追納税額」として表示される
- 3月15日までに追納税額を納付する(振替納税・e-Tax・クレジットカード等)
2箇所で年末調整を受けた年は、必ず確定申告が必要です。申告しないと税務調査の対象になりやすくなります。自主的に申告すれば無申告加算税は軽減されます。
源泉徴収票が届かない・紛失した場合の対処法
源泉徴収票は年末調整後(12月下旬〜翌年1月中旬)に発行されます。届かない・紛失した場合は以下の手順で対処してください。
- 副業先に再発行を依頼する:源泉徴収票の交付は法的義務(所得税法第226条)。会社は必ず再発行しなければなりません
- 再発行に応じない場合:税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出してください。税務署から会社への行政指導につながります
- 紛失した場合:給与明細や銀行の入金記録を集め、年間の支払金額・源泉徴収税額を自分で計算する
- 電子交付の場合:会社のポータルサイトや給与明細システムからPDFをダウンロードできます
- マイナポータル連携が有効な場合:国税庁システムにアクセスすると過去の源泉徴収票情報を自動取得できます(対応している会社が前提)
源泉徴収票が入手できない場合でも、給与明細書の写しや銀行の振込明細で申告することは可能です。ただし確定申告後に源泉徴収票が見つかった場合は内容と一致しているか必ず確認してください。
会計ソフトで2枚の源泉徴収票を正確に管理する
2枚の源泉徴収票を手で計算・転記する作業はミスが起きやすいです。会計ソフトを使えば、数値を入力するだけで自動計算・自動で申告書を生成してくれます。
副業が給与所得(ダブルワーク)のみの場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー(無料)」でも対応できます。副業が雑所得・事業所得も混在する場合や、経費計上・青色申告を考えている場合は、会計ソフトの利用が確実です。
やよいの青色申告オンラインは初年度無料で、源泉徴収票の情報を入力するだけで確定申告書を自動生成します。マネーフォワード クラウド確定申告は副業の確定申告に特化しており、スマホから申告まで完結できます。
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よくある質問
Q. 副業の源泉徴収票が2枚ある場合、確定申告は必ず必要ですか?
副業が給与所得(ダブルワーク)の場合、副業収入の金額にかかわらず原則として確定申告が必要です。副業側は年末調整を受けられないため、所得税が確定していないからです。ただし副業が給与以外(雑所得・事業所得)で年間20万円以下の場合は、確定申告は不要です。
Q. 2枚の源泉徴収票のうち、どちらを本業(甲欄)として扱いますか?
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している会社が甲欄(本業)です。通常は正社員・フルタイム勤務の会社に提出しているため、そちらが本業扱いになります。申告書の提出がない会社は自動的に乙欄(副業)となります。
Q. e-Taxで2枚の源泉徴収票を入力する方法を教えてください。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで「給与所得の源泉徴収票の追加」ボタンを使います。1枚目(本業)を入力後、「さらに追加する」を選択し、2枚目(副業)の内容を入力してください。マイナポータル連携を使うと本業分が自動取り込みされ、副業分だけ手入力するだけで済みます。
Q. 副業先から源泉徴収票をもらえない場合はどうすればよいですか?
まず副業先に再発行を依頼してください。源泉徴収票の交付は法的義務(所得税法第226条)です。再発行に応じない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで対応できます。届出後、税務署から会社に行政指導が行われます。
Q. 2箇所から給与をもらっている場合、還付金はいつ振り込まれますか?
e-Taxで申告した場合は申告から約3週間、書面申告の場合は1〜2ヶ月が目安です。確定申告書に金融機関の口座情報を正確に入力することで、自動的に振り込まれます。申告期限(3月15日)より早めに申告するほど還付も早くなります。
Q. 年末調整を2箇所でしてしまった場合、どう修正すればよいですか?
「修正申告」ではなく「確定申告」で正しい内容を申告し直します。2箇所で年末調整を受けると二重に控除が適用され、通常は税金が不足しています。翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に2枚の源泉徴収票を使って正確な申告をすることで精算できます。