副業の雑所得 計算方法|2026年版シミュレーション
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副業の雑所得は「総収入金額−必要経費」で計算します。ただし税額は、本業の給与と合算したうえで令和7年度税制改正で段階化された基礎控除(合計所得132万円以下は95万円、132万円超336万円以下は88万円等)と所得税の累進税率を当てはめて求めます。本記事では国税庁の最新ルールに従い、副業所得20万円・50万円・100万円・200万円の4パターンで実際に計算し、節税効果と申告ラインまで整理します。
副業の雑所得の基本計算式
副業の雑所得は<strong>「総収入金額−必要経費=業務に係る雑所得」</strong>で計算します(国税庁タックスアンサーNo.1500)。確定申告とは何かをまず押さえたい方は確定申告の完全ガイドを先にご覧ください。仮想通貨(暗号資産)の売却益も「その他の雑所得」に分類され総合課税の対象です。FXと異なる税率の仕組みについては仮想通貨副業の確定申告と税率で詳しく解説しています。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 総収入金額 | 副業で得た売上の年間合計(1月1日〜12月31日) | 所得税法第36条 |
| 必要経費 | 副業に直接かかった費用(消耗品・通信費・家賃按分等) | 所得税法第37条 |
| 業務雑所得 | 総収入金額−必要経費 | 国税庁 No.1500 |
| 公的年金等の雑所得 | 収入金額−公的年金等控除額 | 国税庁 No.1600 |
| その他の雑所得 | 総収入金額−必要経費(仮想通貨売却益等) | 国税庁 No.1500 |
雑所得は売上ではなく「所得(売上−経費)」で判定する点が最重要です。年間売上100万円でも経費が80万円あれば、雑所得は20万円です。経費を漏れなく計上することが節税の第一歩になります。
経費の按分計算と勘定科目の実例
副業の経費はプライベートと兼用するものが多いため、事業使用割合に応じた按分計算が必要です。按分根拠は税務調査時に求められるため、必ず記録に残してください。各勘定科目の判定詳細は副業の経費一覧、家賃按分の具体的計算は副業の家賃按分で整理しています。
| 勘定科目 | 按分基準の例 | 按分計算例 |
|---|---|---|
| 通信費(光回線) | 事業使用時間 ÷ 全使用時間 | 月8,000円 × 30%(週20時間/週70時間)=月2,400円 |
| 地代家賃 | 事業使用面積 ÷ 全床面積 | 月12万円 × 20%(10㎡/50㎡)=月24,000円 |
| 水道光熱費 | 家賃と同じ按分比率 | 月15,000円 × 20%=月3,000円 |
| スマホ料金 | 事業使用割合(通話履歴・データ) | 月7,000円 × 40%=月2,800円 |
| PC・タブレット | 事業使用割合 × 減価償却(4年) | 20万円 × 50% ÷ 4年=年25,000円 |
| 車両費・ガソリン | 事業使用走行距離 ÷ 総走行距離 | ガソリン代月2万円 × 30%=月6,000円 |
プライベート兼用のスーツ・カバン・腕時計等は、業務専用と明確に分けられない限り経費否認のリスクが高い項目です。配信用衣装・撮影用機材のように「副業専用」と外形的に判別できるものに限定する方が安全です。
令和7年度税制改正で基礎控除が段階制になった
雑所得の計算結果を最終的な所得税につなげる際、最も重要な所得控除が「基礎控除」です。令和7年度税制改正(国税庁公式)により、従来一律48万円だった基礎控除が、合計所得金額に応じた段階制に変わりました。副業がある会社員への具体的な影響と手取り計算例は基礎控除引き上げが副業に与える影響でより詳しく解説しています。
| 合計所得金額 | 令和7・8年分の基礎控除 | 令和9年以降の基礎控除 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円(据置) |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 58万円 |
| 2,350万円超〜2,500万円以下 | 従来通り段階的に減額 | 従来通り段階的に減額 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
「副業所得は段階制基礎控除で全額控除される」と誤解しないでください。基礎控除はあくまで本業給与+副業を合算した「合計所得」に対して適用されます。会社員の本業給与が400万円ある時点で、合計所得は最低でも336万円超ゾーンに入るため、副業分の所得には本業の限界税率がそのまま課税されると考えるのが実態に近いです。
副業の雑所得から所得税を計算する4ステップ
雑所得を計算しただけでは税額は出ません。本業の給与所得と合算し、所得控除と税率を順に適用していきます。国税庁が示す手順を整理します。
- ステップ1: 副業の業務雑所得を計算する(総収入−必要経費)
- ステップ2: 本業の給与所得(給与収入−給与所得控除)と合算して「合計所得金額」を出す
- ステップ3: 合計所得から所得控除(基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除等)を差し引いて「課税所得」を求める
- ステップ4: 課税所得に所得税の速算表(5〜45%)を適用し、税額控除を差し引いた金額が年間所得税。住民税は課税所得 × 10%(均等割を別途加算)
| 課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
副業所得20万・50万・100万・200万円の税額シミュレーション
本業の給与年収500万円(社会保険料控除75万円、給与所得控除144万円)の会社員をモデルに、副業の雑所得が増えた場合の追加税額を試算します。令和7年・8年分の基礎控除を適用し、配偶者控除等は考慮しない簡易計算です。
| 副業雑所得 | 課税所得への追加 | 追加所得税 | 追加住民税 | 合計追加税額 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円(申告した場合) | +20万円 | 4万円 | 2万円 | 6万円 |
| 50万円 | +50万円 | 10万円 | 5万円 | 15万円 |
| 100万円 | +100万円 | 20万円 | 10万円 | 30万円 |
| 200万円 | +200万円 | 40万円 | 20万円 | 60万円 |
副業雑所得100万円なら、合計追加税額は約30万円です。これは「副業の手取りが7割」になることを意味します。同じ100万円でも青色申告(事業所得)で65万円控除を使えば課税対象は35万円となり、税額は約10万5,000円に圧縮できます。なお青色65万円控除は<strong>e-Tax電子申告 または 優良な電子帳簿保存(電子帳簿保存法の優良要件を満たす帳簿)</strong>のいずれかを満たすことが要件です。要件を満たさない場合は55万円控除になります。雑所得 vs 事業所得の判定詳細はこちらを参照してください。
300万円ライン・1000万円ラインで変わる帳簿義務
雑所得は売上規模で扱いが変わります。国税庁は前々年(2年前)の業務雑所得の収入金額を基準に3つの区分を設けています。
| 前々年の業務雑所得 収入金額 | 帳簿の扱い | 確定申告時の添付書類 |
|---|---|---|
| 300万円以下 | 現金主義特例OK(その年に収入した額・支出した費用ベースでよい) | 通常の確定申告書のみ |
| 300万円超〜1,000万円以下 | 発生主義での記帳・帳簿保存が望ましい | 通常の確定申告書のみ |
| 1,000万円超 | 発生主義必須・5年間の帳簿書類保存義務 | 総収入金額・必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書相当)の添付が必須 |
2022年10月の所得税基本通達35-2改正により、年間収入300万円超かつ帳簿書類の保存があれば<strong>事業所得と推定される</strong>(特に反証がない限り事業所得として扱われる)取り扱いになりました。逆に300万円以下でも継続的・反復的な業務実態と帳簿があれば事業所得が認められる余地があります。300万円ラインは「自動で雑所得 or 事業所得が決まる線」ではない点に注意してください。
雑所得の申告ライン|20万円ルールと住民税
雑所得を計算した結果、いくらから確定申告が必要になるか整理します。所得税と住民税で基準が違う点が最大のハマりポイントです。
| 状況 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 会社員の副業・雑所得20万円以下 | 原則不要(所得税法第121条) | 必要(市区町村に申告) |
| 会社員の副業・雑所得20万円超 | 必要 | 確定申告で同時に行われる |
| 専業主婦・学生(給与収入なし) | 合計所得が基礎控除を超えた場合に必要 | 確定申告で同時に行われる |
| 年金受給者の副業 | 公的年金等400万円以下+雑所得20万円以下なら不要 | 必要 |
「20万円以下だから何もしなくてよい」という誤解は危険です。市区町村への住民税申告を怠ると無申告扱いとなり、後日課税通知+延滞金のリスクがあります。20万円以下でも住民税申告だけは必ず行ってください。詳細は副業の住民税申告方法を参照してください。
雑所得の計算を会計ソフトで効率化する
雑所得の計算は手計算でも可能ですが、経費の按分・領収書管理・年間集計を会計ソフトに任せると、入力時間を1/5以下に短縮できます。所得規模が大きくなって事業所得・青色申告への切替を検討する段階では、複式簿記対応の会計ソフトが必須です。比較ポイントは会計ソフトの選び方で整理しています。
| ソフト | 副業(雑所得)対応 | 強み |
|---|---|---|
| やよいの白色申告オンライン | ○ フリープランずっと無料 | 雑所得・白色申告から始めたい人向け |
| やよいの青色申告オンライン | △(青色申告メイン) | 事業所得への切替時に最有力。EPC113.64 |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | ○ 副業プランあり | レシート撮影で経費登録が楽。銀行・カード連携豊富 |
| freee会計 | ○ 副業フリープラン | 確定申告書を質問形式で自動作成 |
雑所得の段階ではやよいの白色申告オンライン(フリープランずっと無料)で十分です。年間所得が安定して50万円を超え、事業所得・青色申告に切り替えるタイミングでやよいの青色申告オンラインまたはマネーフォワード クラウド確定申告に乗り換えるのが王道ルートです。
副業の雑所得計算チェックリスト
雑所得の計算で漏れがないかを確認するチェックリストです。確定申告前に1つずつ確認してください。提出後に集計ミスへ気づいた場合は修正申告・更正の請求のやり方で対応できます。
- 1月1日〜12月31日の副業売上を合計した
- 経費のレシート・領収書を全て集めた
- プライベート兼用の経費を事業使用割合で按分計算した
- 按分根拠(面積・時間・走行距離)を記録した
- 総収入金額−必要経費で雑所得を算出した
- 本業の給与所得と合算した合計所得金額を出した
- 令和7・8年分の段階制基礎控除を正しく適用した
- 課税所得に所得税の速算表を当てはめて税額を計算した
- 住民税(課税所得 × 10%)も忘れず計算した
- 前々年の業務雑所得が300万円超・1,000万円超に該当しないか確認した
- 20万円以下でも住民税申告は別途必要と認識した
今日から始める雑所得計算の3つの要点
副業の雑所得計算で押さえるべき要点は3つです。①計算式は「総収入金額−必要経費」、②税額は本業給与と合算した課税所得に累進税率を掛けて求める、③令和7・8年分は段階制基礎控除(合計所得132万円以下で95万円、132万円超336万円以下で88万円)が適用される。所得が50万円を超えてきたら青色申告(事業所得)への切替が大きな節税レバーになります。判定は雑所得と事業所得の違い、青色申告への切替手順は開業届を出すべきかで整理しています。会計ソフトはまず無料のやよいの白色申告オンラインで経費管理を始め、所得が伸びた段階でやよいの青色申告オンラインに乗り換えるのが最短ルートです。
よくある質問
Q. 副業の雑所得はどう計算しますか?
業務に係る雑所得の計算式は「総収入金額−必要経費」です(国税庁 No.1500)。たとえば年間売上80万円・経費30万円なら、雑所得は50万円です。その50万円を本業の給与所得と合算し、各種所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)を引いた残額(課税所得)に所得税の累進税率(5〜45%)を掛けて、最後に税額控除を差し引いたものが副業分を含む年間所得税となります。
Q. 副業の雑所得にかかる税率はいくらですか?
雑所得単体に固定税率があるわけではなく、本業を含む課税所得の合計額に対する累進税率が適用されます(所得税法第89条)。所得税は5%〜45%の7段階、住民税は一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)です。たとえば本業の課税所得が330万円超〜695万円以下の方は所得税率20%(控除42万7,500円)、住民税10%なので、副業の雑所得1万円につき所得税2,000円+住民税1,000円=合計3,000円が増えるイメージです。
Q. 経費はどこまで雑所得から差し引けますか?
副業に直接必要な支出は経費にできます。具体的には①消耗品費(PC周辺機器・文具)、②通信費(光回線・スマホの事業使用割合)、③地代家賃(在宅作業スペースの面積按分)、④水道光熱費、⑤旅費交通費、⑥支払手数料、⑦新聞図書費等です。プライベートと兼用するものは事業使用割合で按分し、按分根拠(面積・使用時間等)を記録に残す必要があります。経費全般の詳細は<a href="/column/fukugyou-keihi-ichiran">副業の経費一覧</a>を参照してください。
Q. 副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告は別途必要です(所得税法第121条)。給与所得者で副業の所得(売上−経費)が年間20万円以下なら所得税の確定申告は免除されます。ただし住民税には20万円ルールがないため、1円でも雑所得があれば市区町村への住民税申告が必要です。詳細は<a href="/column/20man-rule">副業の20万円ルール</a>で整理しています。そもそも副業がアルバイト(給与所得)か業務委託(雑所得)かの見分け方は<a href="/column/fukugyou-kyuyo-zassho-chigai">副業の給与所得と雑所得の違い</a>で解説しています。
Q. 副業の雑所得が赤字でも給与所得と相殺できますか?
原則として相殺できません。雑所得の赤字は他の所得(給与所得など)と損益通算できず、その年の雑所得をゼロとして扱うだけです(所得税法第69条)。これは事業所得との大きな違いで、事業所得なら赤字を給与所得と相殺して還付を受けられます。詳しくは<a href="/column/fukugyou-zasshotoku-jigyoshotoku">雑所得と事業所得の違い</a>で解説しています。
Q. 前々年の業務収入が300万円を超えると何が変わりますか?
前々年(2年前)の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超だと「現金主義特例」が使えなくなり、発生主義での記帳が必要になります。また1,000万円超だと、確定申告書に「総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書相当)」の添付が義務化されます(所得税法第120条)。さらに2022年10月の通達改正により300万円超は事業所得と認められやすくなる側面もあるため、事業所得への切替検討タイミングでもあります。
Q. 雑所得の計算と所得税の最終税額はどう連動しますか?
雑所得は「総合課税」の対象です。本業の給与所得+副業の雑所得など全ての総合課税対象所得を合計し、そこから所得控除(基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除等)を差し引いた「課税所得」に税率を掛けます。副業所得20万円が単体で課税されるのではなく、本業の所得帯に上乗せされる点に注意してください。本記事の「年収帯別シミュレーション」セクションで具体例を示しています。